今日はいよいよ一年間の集大成、修了制作発表会でした。1年で獲得した知識を組み合わせて、作品を作って発表してもらいます。
ベーシックコース 1年間のカリキュラム
みんなはじめての研究発表なので、どこまでできるか心配でしたが、予想以上に内容が素晴らしく、かつ堂々と発表してくれました。また、発表後は質疑応答を行いましたが、みんなが意外にしっかりと質問や「もっとこうしたらいいんじゃない?」という助言をしており、その雰囲気が本格的な研究開発みたいで感動しました。
【修了制作発表会】
①作品名:ルーブ・ゴールドバーグくん
組み合わせた知識:磁石、電気、ひも
発表は立候補順で、トップバッターはなんと唯一の幼稚園児生からでした。修了制作は2月に作ったルーブ・ゴールドバーグ・マシンで、パチンコ球が通ると磁石でトラップされてブザーが鳴って赤いLEDが光り、ビー玉が通るとゴールして緑のLEDが光るというからくり仕掛けです。いわゆるピタゴラ装置ですね。光ったり音が鳴ったりする箱を上部に埋め込んで顔の形にし、配線を背面にきれいに整えていました。
②作品名:ミニ掃除機
組み合わせた知識:プロペラ、電気
二人目の修了制作は、サイクロン式の「ミニ掃除機」です。2月中旬からなんども相談にきていて、プロペラの向きを変えたり、電池の数を増やしたり、大きなペットボトルで作ってプロペラを大きくしてみたりと、かなりの試行錯誤をしていました。吸い込み口が小さいため、結局小さいペットボトルの方がよく吸うことなど、実験してわかる気づきを得ていたのが印象的でした。
③作品名:光る靴
組み合わせた知識:電気、展開図
三人目の修了制作は、「光る靴」でした。靴の下に履かせる下駄のような構造で、中で自由に動く鉄球が歩行の振動で動いてランダムにLEDが光ります。最初靴に貼り付けようとしたけれど、取外し可能なほうが便利ということで紐での装着系にしたそうです。これで、どんな靴でも光る靴にできて、夜道も安心です。アイデアが斬新で素晴らしいですね。なにげに自分で設計して木の板をカットし、紐がとおる穴をあけていたり、電池部屋とパチンコ球が動く部屋とが分けられていたりと、随所に工夫がみられます。
④作品名:マジックハンド
組み合わせた知識:ひも、トラス構造
四人目の修了制作は、マジックハンドです。二本の指が内側に折れて、カニのハサミのようにつかむことができます。工夫したところは、ストローの先が柔らかいとつかみにくいので、人間の爪をヒントにプラスチック板をつけたところ。また、一本の紐で二本の指を動かせるようにし、挟むタイミングが揃うようにしていました。さらに、手の甲を立体的にして、頑丈さがでるようにトラス構造を組んでいました。
⑤作品名:ルーブ・ゴールドバーグ・マシン
組み合わせた知識:磁石、電気、ひも
五人目の修了制作は、ルーブ・ゴールドバーグ・マシンの改良版です。5月に作ったイライラゲームのブザーをこちらに取付けて、ビー玉がゴールしても音が鳴るようにしました。工夫したところは、ただでさえややこしい配線に、さらにブザーをひとつ加えたことのようです。
⑥作品名:大きなパチンコ型弓矢
組み合わせた知識:ゴム、トラス構造
六人目の修了制作発表は、大きなパチンコ型弓矢です。割り箸とセロテープで両手で持つボーガンのような骨格をつくり、そこに大きめのゴムを着けて矢を飛ばします。割り箸の先にセロテープの塊をつけて重心にし、矢がまっすぐ飛ぶように工夫されていました。シンプルですが完成度の高い作品でした。発表後の質疑応答では、「矢の先にかるいスポンジをつければ誰かにあたっても大丈夫なのでは?」という意見が出ていました。
⑦作品名:サッカー場
組み合わせた知識:ゴム、トラス構造
七人目の修了制作は、「サッカー場」でした。足のところはゴムの回でつくったカタパルトに近い構造で、ゴムテープを丸めて作ったボールを蹴り飛ばす仕組みになっていました。割り箸でつくったデフェンダー(守備選手)を抜けると奥のゴールにボールが入る仕組みです。工夫したのは、割り箸を組み上げて作ったゴールのネットに、紐ではなく薄い不織布をつかったことだそうです。たしかに、ミニチュアゴールネットの雰囲気がよく出ていました。
⑧作品名:ルーブ・ゴールドバーグ・マシン
組み合わせた知識:磁石、電気、ひも
八人目の修了制作は、ルーブ・ゴールドバーグ・マシンでした。難しかったところは、玉がきれいにころがるように道をつくるところだったようです。ピタゴラ装置の難しいところは、上手く行ったり行かなかったりするところ。何度やってもビー玉がちゃんと最後のポケットに入るように再現性を高めるのが大変でした。
⑨作品名:縮むアーム(洗濯物が干せる)
組み合わせた知識:磁石、ひも
九人目の修了制作は、縮むアーム(洗濯物が干せる)でした。お母さんが、「雨が降った時に洗濯物干しが縮んで、屋根の下にはいるマシンをつくって」と言われて作ったということです。洗濯物の重さで再び開いてしまわないように、縮むとネオジム磁石で強力にくっついて開かないように工夫しています。九人の中で唯一、課題に対して発明をしていたのが素晴らしかったです。
【修了式】
全員が見事に修了制作を発表できたので、表彰状を授与しました。最初の表彰は、唯一「だれかのために」作品を作った縮むアーム(洗濯物が干せる)の開発者でした。続いて残りの八名も表彰状を授与しました。
【特別講演】
頑張って修了製作発表をしたみんなへのご褒美に、今日は沖縄県内で活躍する研究者にお話してもらえる時間をつくりました。講演は沖縄高等工業専門学校生物資源学科教授の田中博先生で、「研究のおもしろさと可能性」というタイトルでお願いしました。
田中先生は、五年前まで雪印乳業株式会社(現:雪印メグミルク株式会社)で乳酸菌の研究をしていて、そのとき開発に関わった商品が「ナチュレ 恵 」として現在もスーパーで販売されています。いまはその経験を後世に伝えるべく、沖縄高専で研究をしながら次世代育成に携わっています。研究のおもしろさは、いまでも多くの人に食べてもらい役に立っていること。研究の可能性は酪農大国オランダで研究したことで世界が広がり、いまでは世界中に友達がいることなどを話していただきました。講演後の生徒からの「いまはなんの研究をしているんですか?最近おもしろい発見ありましたか?」という質問に対して、「いまでも乳酸菌の研究をしてるよ。最近の発見・・・、まだ未発表だから絶対ほかで話したらダメですよ?実はね・・」という思わぬ展開が。講演も素晴らしかったのですが、やはり最後の研究の話が生徒も、後ろで聞いている保護者も前のめりでワクワクしながら聞きました。かなりエキサイティングでした。これぞ、研究者が子どもの前で話す醍醐味ですよね。
これで、三月の発表会は終了です。ベーシックコースの修了生は、四月からはアドバンスコースへ進級します。そして、新たに四月からベーシックコースに入る子たちも申し込みが続々と到着しています。沖縄では、少しずつですが着実に小さな研究者が育ってきています。
もしお子様がロボットやものづくりの興味がありましたらぜひ体験教室へお越しください。
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